「ライトジーンの遺産」(朝日ソノラマ、神林長平 著)
今日の本は久々の大当たりだ。一言で言えば、酒が飲みたくなる
これだけ言うと何の事だと問いたくなるが、実際そう思ったのだから仕方がない
臓器崩壊という、体の一部のみが、勝手に寿命を迎える現象
原因不明のそれが、世界中の人間に表れるようになり
人工臓器を一つも入れていない人間の方が珍しい世の中
その一方で、超能力に目覚めた人間「サイファ」が登場する
主人公のコウは、世界に二人だけの、狭義にして最強のサイファの一人だ
酒と本を愛する自由人のコウが、市警中央署第4課の刑事と共に
人工臓器メーカー絡みの事件に関係していくハードボイルドSF
全7話からなるこれは、簡潔にまとめつつも
独特の雰囲気や皮肉めいた言い回しがあり
どんどんその世界に引き込まれていく感じがした
キャラクターと世界、作品内の全てが抜群のセンスで組み合わされ、見事に調和しているのだ
シリアスな本筋も、合間に挟まれるコミカルな部分も、作品のイメージを崩すことなく、それでいて面白い
傑作というのはこういうものを言うのだと、一話目に「皮膚呼吸くらいで死ぬわけねぇだろ」と思ったのも忘れて真剣に思った程だ
彼の他の作品も、是非探して読みたいものだ
ああ、それと
これに影響されてウィスキー買ってみました、スーパーで一番安かったサントリーのトリスウィスキー
ラムレーズンっぽい香りで結構いいかも知れない。飲んで即むせたけど
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